去痰薬の違いを説明できますか?

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風邪の時によく使用されるのが去痰薬です。
多くの病院で「カルボシステイン(ムコダイン)」と「アンブロキソール(ムコソルバン)」を併用して使用しているのではないでしょうか?

患者
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この二つの去痰薬は何が違うんですか?

こう患者さんに聞かれたときに適切に答えられるでしょうか?
今回は去痰薬の違いについて考えていきたいと思います。

カルボシステイン(ムコダイン)は「ねばつき」を減らす!

カルボシステイン(ムコダイン)は「気道粘膜調整薬」です。
痰や鼻水の「ねばつき(粘度)」を減らすことで効果を発揮します。

必ず使用しなければいけないという訳ではありません。
喉や鼻に入ってくる細菌やウイルスなどの微生物が増えてくると、より微生物を捕えやすくするために、粘度の高い粘液を作り出すようになります。
痰や鼻水の「ねばつき(粘度)」が高くなるのは一種の生体反応なんです。

ただ、あまりに「ねばつき(粘度)」が高くなると絡みつくようになり辛いですよね。
それを改善してくれるのがカルボシステイン(ムコダイン)です。

具体的には、「ねばつき(粘度)」の主成分「シアル酸」や「フコース」の割合を整え、粘液そのものの産生を抑える効果があると言われています。
そのため、痰の量が多い時によく使用されるのが特徴です。

アンブロキソール(ムコソルバン)は気道の滑りを良くする!

アンブロキソール(ムコソルバン)は「気道潤滑薬」です。
気道の粘膜を整え、気道の滑りを改善することで効果を発揮します。

具体的には、肺表面活性物質(肺サーファクタント)という成分を増やします。
いわゆる「石鹸」です。
「石鹸」を使用するとツルツル滑りやすくなりますよね。
あれと同じ原理です。

このように一言で去痰薬と言っても、その作用は異なることが知られています。
これらの薬は作用機序が異なるため、多くの病院で併用(相乗効果)されて使用されています。

ブロムヘキシン(ビソルボン)は「ねばつき」と溶かす!

もう一つ有名な去痰薬がブロムヘキシン(ビソルボン)です。
市販薬としても良く使用されますが、上記の2つと比較すると使用頻度は少ないのが実際ではないでしょうか。

この薬は「気道粘液溶解薬」で、主に粘り(ムチン)を溶かすことで効果を発揮します。
また、ブロムヘキシン(ビソルボン)の活性代謝物の一つにアンブロキソールがあるため、気道滑沢薬としての効果も期待できますが、アンブロキソール(ムコソルバン)との併用には注意(重複投与)が必要です。

この薬にはもう一つ注意点があります。
吸入薬の中に含まれるパラベンと呼ばれる成分が、アスピリン喘息を悪化させることが知られています。
「アスピリン喘息に禁忌」このことには注意していきましょう。

どんな剤形があるの?

薬を使用する上で、剤形はとても大切です。
その患者さんに合った剤形を選択してあげましょう。

カルボシステイン
(ムコダイン)
錠剤(250mg・500mg)
ドライシロップ(50%)
シロップ(5%)
アンブロキソール
(ムコソルバン)
錠剤(15mg)
徐放錠・徐放カプセル(45mg)
ドライシロップ(3%)
小児用ドライシロップ(1.5%)
内用液(7.5mg/ml)
小児用シロップ(3mg/ml)
ブロムヘキシン
(ビソルボン)
錠剤(4mg)
細粒(4%)
シロップ(0.08%)
吸入液(0.2%)
注射液

さいごに

去痰薬の難しさは「効いたかどうかわからない」ことではないでしょうか?
実際、偽薬(プラセボ)との比較において、効果に違いがなかったという研究報告があるくらいです。
ただ、副作用が少ないことから、非常に使いやすい薬であることも事実です。
気管支喘息では、痰のねばつきは致命的(気道が閉塞→窒息死)となることもあります。
その効果の違いについて知っていたら患者さんへの説明はより詳しくできますよね。
患者さんが安心して薬を使用できるよう参考にしていただければ嬉しく思います。