新型コロナウイルス感染症が流行した影響で、環境(部屋、物品など)の消毒が日常的なものとなってきました。
環境消毒には主に、アルコール製剤と次亜塩素酸ナトリウム製剤が使用されますが、正しく使用しないと暴露など、人体に対する影響が生じます。
アルコール製剤は、新型コロナウイルスに対して効果的ではありますが、日常的に広範囲の室内を消毒するとなると、コスト的に高くついてしまう現状があります。
今回は次亜塩素酸ナトリウムの使用方法についてまとめましたので参考にしていただければ嬉しく思います。
次亜塩素酸ナトリウムは最強
次亜塩素酸ナトリウムは、環境に使用できる消毒剤としては最強の消毒剤です。
アルコールが無効な芽胞を形成する細菌やエンベロープを持たないウイルスに対しても効果が期待できます。
アルコールが無効な微生物に関しては、「流水と石鹸による手指衛生」にまとめてありますので、そちらも参考にしてください。
次亜塩素酸ナトリウムの製品
代表的な次亜塩素酸ナトリウムの製品を示しました。
同じ名称でも濃度が異なる場合がありますので、必ず濃度を確認して使用してください。
1% | ピュリファン、ミルクポン、ミルトン (ベビーグッズの消毒) |
5~6% | ハイター、ブリーチ (市販の漂白剤) |
6% | テキサント、ピューラックス、ヤクラックス、次亜塩 (医療用医薬品) |
10% | アルボースキレーネ、ハイポライト |
12% | ジアエース、バイヤラックス |
濃度に注意!
次亜塩素酸ナトリウムは使用用途によって必要な濃度が異なるため、希釈して使用する必要があります。
広く入手可能な市販の漂白剤(5~6%)を例にみてみます。
環境消毒(室内、物品など)の場合
希釈方法(0.05%=500ppm)
500mLの水に対して5mL(ペットボトルキャップ1杯)入れる
排泄物(嘔吐物や下痢便など)の場合
希釈方法(0.1%=1000ppm)
500mLの水に対して10mL(ペットボトルキャップ2杯)入れる
使用用途と濃度の一覧表
医療器具 | 0.02~0.05% | 浸漬・清拭 |
環境(部屋) | 0.02~0.05% | 清拭 |
環境(物品) | 0.02~0.05% | 浸漬 |
排泄物 | 0.1~1% | 清拭 |
ウイルス汚染 | 0.1% | 清拭 |
血液汚染 | 1% | 清拭 |
哺乳瓶・乳首 | 0.0125% | 浸漬 |
次亜塩素酸ナトリウムは、その用途によって濃度が細かく規定されています。
製品によっても濃度が異なるので、実際に希釈する際には製品の説明書きをしっかり読んで使用するようにしましょう。
注意事項
- 手指(人体)の消毒には使用しない。
- 直接皮膚に触れないように樹脂製の手袋を使用する。
- 十分に換気をする。
- 塩素ガスが発生するため、酸性のものと混ぜない。
- 汚れは落としてから使用する。
- 金属に対しては腐食作用があるため原則使用しない。
- 脱色(漂白)に注意する。
- 希釈したものは時間が経つと効果が減るため、作り置きしない。
- 希釈したものは誤飲しないよう注意する。
- 直射日光の当たらない場所で保管する。
- 子どもの手の届かないところに保管する。
キッチンで次亜塩素酸ナトリウム(ハイターなど)を使用したまま放置してしまい、目や喉に違和感を感じたことがある人も多いのではないでしょうか?
次亜塩素酸ナトリウムは人体への影響が大きいため、直接触れないこと、触れた場合(特に目などの粘膜)はすぐに洗い流すこと、十分に換気をすることなどに注意して頂ければと思います。
さいごに
今回は次亜塩素酸ナトリウムについてお話しさせていただきました。
感染予防に非常に効果的な消毒薬ですが、誤った使用方法では、逆に害になることもあります。
正しい使用方法をマスターして、消毒薬を安全に効果的に使用していきましょう。