輪ゴムはNG!(滅菌物の保管方法)

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よくシリンジなどの滅菌物が「輪ゴム」でまとめられていることがあります。
皆さんの病院では、滅菌物を輪ゴムでまとめていないですか?
輪ゴムでまとめた方が整理整頓できて良いんじゃないかと考えて行ってくれている行為ではあると思いますが、滅菌物の保管という観点からみると、この行為はふさわしくありません。
今回はそんな滅菌物の保管について、考えていきたいと思います。

輪ゴムがNGな理由は?

「医療現場における滅菌保障のガイドライン 2015(日本医療機器学会)」では、滅菌物の保管上の注意点について、次のように記載されています。

物品の保管に当ってはつぶれたり、折り曲がったり、圧縮されたり、包みに穴があいたり、その他内容物の滅菌性が損なわれないように保管すること。

輪ゴムをつけたり外したりする場面を想像してみてください。
穴が開いたり、破れたりする可能性がありますよね。
確かにシリンジであれば、それなりに丈夫なパッケージ密閉されています。
それが、「ナートセット」や「鑷子」であった場合はどうでしょうか?
穴が開いて滅菌性が損なわれてしまう可能性があります。
そのため、滅菌物については輪ゴムなどでまとめたりしないことが推奨されています。

縦置きもしない!

同様の理由で、滅菌物の縦置きもNGです。
縦置きしてしまうと、滅菌バッグが折り曲がったり、圧縮されたりして、穴があいてしまう可能性を考慮しなければいけません。
「ナートセット」であれば器材が滅菌バッグ内の下方に落ち込んでしまう可能性があります。
「鑷子」などの先端がとがっている器材であれば、滅菌バッグに穴をあけてしまう可能性があります。
滅菌物は余裕をもって正しく収納しましょう!

輪ゴム以外の注意点は?

滅菌物を保管する際には、輪ゴム以外にも注意しなければいけないことがあります。

  • 滅菌物の収納棚は清潔に保つ。(取り扱う時は手指衛生を行う。)
  • 滅菌物は詰めすぎない重ねすぎない
  • シンク付近など、湿気を帯びる可能性がある場所での保管は避ける
  • 在庫を最小限にする。
  • 使用時には、包装材の破損や状態、有効期限、インジケータの変色などを確認する。

保管場所は?

では、保管場所についてはどのように規定されているのでしょうか?
「医療現場における滅菌保障のガイドライン 2021(日本医療機器学会)」では、次のように記載されています。

室内環境について

バリアされた滅菌物を保管するにあたって、清浄な空気を提供するHEPAフィルタは必須とせず、換気圧は常圧、もしくは陽圧とする。室内の明るさは、包装材の微細破損を確認できる照度を確保する。室内は温度20〜25°C、湿度40〜50%を目安に維持し、温湿度変動による結露発生を防止する空調管理をおこなう。

清潔な部屋に保管して、湿気を帯びる場所には注意しましょう。
濡れた手や手袋などもNGです。

棚について

滅菌物は床、天井、外壁から十分離れた場所で保管する。滅菌物を保管するための保管棚に滅菌物以外を収納しない。滅菌物は、床から少なくとも20cm天井のスプリンクラー設備周辺から45cm以上外壁から5cm以上の距離を確保する。保管棚は扉やカバーで保護されたキャビネット、あるいは、「室内環境」に記載した環境においてはオープンラックとする。

意外と注意しなければいけないのがここです!
床から少なくとも20cmの距離を確保するためには、一番下段の引き出しに滅菌物は保管できないことを覚えておきましょう。

伝え方の例

滅菌物が輪ゴムでまとめられているけど、これがどうしてダメなのかわかりますか?
そう!
輪ゴムをつけたり外したりすると、破れたり穴があいちゃう可能性がありますよね。
滅菌物の保管って、意外と注意しなければいけないことも多くて大変なんです。
確かに、私たちの情報発信が足りなかったかもしれません。
今度、ICTニュースで詳しく情報提供しますね。
これを見て、一度滅菌物の保管について見直してみてください。
整理整頓を心掛けていることは素晴らしいことなので、これからも続けてくださいね。

さいごに

今回は滅菌物の保管方法についてお話させていただきました。
輪ゴムなど、現場で良いと思って行った行為であっても、それが逆効果となることがあります。
しっかりと「なぜ、それがNGなのか?」を伝えて、現場に受け入れられるよう説明していきましょう。
今回のお話が、少しでもお役に立てれば嬉しく思います。