リファンピシンは食後でもいいのか?

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結核の治療などに用いられる「リファンピシン」ですが、どのタイミングで服用するのが良いのでしょうか?
今回は「リファンピシン」と食事の影響について考えていきたいと思います。

リファンピシンとは?

まずは、基本的な注意事項についてお話していきたいと思います。
「リファンピシン」は、結核菌のRNA合成(DNA依存性RNAポリメラーゼ)を阻害する薬です。

結核の治療」はこちら

びっくりするほど真っ赤な薬のため、飲むと尿や汗などが橙赤色になります。
白いTシャツを着ていると、ピンク色になりますので注意してください。

肝障害を引き起こすことにも注意が必要です。
そのため、定期的な肝機能検査を行う必要があります。

代謝酵素を誘導することにも注意が必要で、例えば抗結核薬の副作用で不眠が発現して睡眠薬(ほとんどが肝代謝)が処方されたとしても、ほとんど効果は得られません。
併用薬の確認を怠らないようにしましょう!

添付文書では?

では、リファンピシンと食事の影響について考えていきたいと思います。
添付文書にはこのように記載されています。

原則として朝食前空腹時投与

添付文書では、食事と一緒に服用しないことが推奨されています。
これは、食事と一緒に服用すると吸収が低下すると考えられているためです。
「消化管内のpH上昇に伴う溶解性の低下」や「消化管や肝臓での代謝促進」などの機序が考えられていますが、詳細は明らかとなっていません。

インタビューフォームにおいても、食事の影響は「該当資料なし」と記載されているだけで、公的な資料に明確なデータが示されていないのが現状です。

添付文書に記載されている以上、それを無視する訳にはいきませんが、エビデンス(根拠)が乏しい事実があります。

食事が体内動態に与える影響

リファンピシンの吸収に与える食事の影響について報告された論文は数多くあります。
ただ、その吸収率や血中濃度(Cmax、AUC)について、食後投与では有意に低下したとする報告がある一方、影響がなかったという報告も多くあり、一致した見解が得られていないのが現状です。

同様に「臨床効果」や「有害事象」に与える食事の影響についても明確なデータはありません。

なかなか分かっていないことばかりですね。
もちろん食事と一緒に服用すると吸収率が低下する可能性が否定できるということではありません。
ただ、それだけ微妙であるということです。

大事なこと(アドヒアランスを重視する!)

散々食事との影響について話してきましたが、実際には「食後」で処方されることがよくあります。
これはどうしてなのでしょうか?

毎日決められた時間(空腹時)に服用することはできますか?

自分であった場合を考えてみてください。
服用時間を朝の10時に設定したとします。
仕事中の方も寝ている方も様々だと思いますが、それを毎日欠かさずに続けることはできますか?
結核の治療は最低でも半年間の期間を要します。
なかなか難しいというのが現実ではないでしょうか?

それが、食後なら?

少しは続けられそうな気がしますよね。
そうなんです。
吸収うんぬんよりも、まずはしっかりと規則正しい服用をできる環境を整えてあげることが大切です。

患者さんの生活スタイルを聴取し、無理なく治療を続けていける環境を整えていきましょう!

加えて、空腹時投与の場合、胃腸障害(気持ち悪さなど)が起こりやすい印象もあります。
それを回避するため「食後」投与とすることもあります。

さいごに

今回はリファンピシンと食事の影響についてお話させていただきました。
添付文書に記載されている以上、全員に何も考えず「食後」とするのは望ましくありません。
ただ、本人としっかりと治療について話し合うことが大事です。
今回のお話が少しでもお役に立てれば嬉しく思います。