「行動変容」のための「マネジメント論」

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どのように抗菌薬の適正使用を進めていますか?
なかなか難しいというのが本音という方も多いのではないでしょうか?
そもそも感染症診療では、主治医との間に必ずジレンマが存在しています。
今回はどうマネジメントしていくか?
ミンツバーグのマネジメント論を基に考えていきたいと思います。

感染症診療におけるジレンマ

「主治医の立場」と「抗菌薬の適正使用を進めていく立場」には必ずジレンマが存在しています。

主治医
主治医

① 今、目の前の患者を助けたい!
② 広域抗菌薬であらゆる可能性をカバーしたい!
③ 治療経過良好ならその抗菌薬を継続したい!

ICT・AST
ICT・AST

① 将来の患者にも抗菌薬を使えるようにしたい!
② 広域抗菌薬の使用を制限したい!
③ 積極的にデ・エスカレーションしたい!

見ている視点が違うということです。
こっちの抗菌薬の方が絶対に良いと思っているんだけど、あの先生全然抗菌薬変えてくれないなぁ、、、ということは臨床の現場でよくあることだと思います。
ただ、それ自体が悪いということではないんです。
主治医には主治医なりの経験であったり視点があるんです。

ミンツバーグのマネジメント論

マネジメント論と聞くと「ドラッカー」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
欧米において、同様に高い評価を得ているのが「ヘンリー・ミンツバーグ(Henry Mintzberg)」です。
1973年に発表された「マネジャーの仕事」という著書が有名ですね。
今回は、彼の著書「MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方」に書かれている『経営とは「直感(Art)」「経験(Craft)」「分析(Science)」を適度にブレンドしたものである』ということを、抗菌薬適正使用に当てはめて考えていきたいと思います。

マネジメントの三原則

どのように患者さんの抗菌薬治療をマネジメントしていくかを「直感(Art)」「経験(Craft)」「分析(Science)」と照らし合わせて考えてみたいと思います。

ここで言いたいのは、専門的な知識によるフィードバッグ(Science)が全てではないということです。
主治医の実践的な経験であったり知識(Craft)もとても大切なんです!
両者が患者を治したいというビジョン(Art)に向かってどうしたら良いか考えて、しっかりと話し合っていくことで、より良い患者治療をマネジメントしていけるという考え方です。

先ほどお話した「ジレンマ」だけではなく、患者治療はとても「複雑」であるということをお互いに理解しなければいけません。
積極的に行動を行い、お互いがどうしたら良いか「調和」を取っていくことで、より良い医療を「実践(アウフヘーベン)」していくことができます。

それを具体的にどう実践していくかが難しいんですけどね。

伝え方はとても大事!

お互いにしっかりと協議していくために、コミュニケーションが最も大事であることは間違いありません。
普段、相手の立場(視点)を理解(I’m OK, You’re OK)して、相手の感情にケアをした話し方は行えていますか?
どう伝えたらいいかは、また別の記事に記載していますので、そちらも参考にしていただければと思います。

「伝わる伝え方」はこちら

さいごに

今回はどのように感染症治療をマネジメントをしていくか、ミンツバーグの著書を基に考えていきました。
自分たちの提案が通らなかったとしても、トータルとして良い治療を提供できていればそれで良い!
そう考えると少し気が楽になりますよね。
日々の業務の参考にしていただければ嬉しく思います。