器材の消毒に「浸漬消毒」を行うことがあります。
家庭でも行える消毒手段の一つですね。
ただ、器材がプカプカ浮いていることはありませんか?
今回は「浸漬消毒」について考えていきたいと思います。
落し蓋でしっかり浸漬させよう!
浸漬消毒中に器材がプカプカ浮いていることはありませんか?
意外と多いのがこれです。
プカプカ浮いている部分は消毒できていません。
器材の中の空気を除き、落し蓋で薬液中にしっかり沈めるようにしましょう。
容器は密閉できるよう気で蓋をする!
これも大事です!
浸漬消毒には「次亜塩素酸ナトリウム」が使用されます。
次亜塩素酸ナトリウムは塩素ガス(Cl2)となって蒸発するため、密閉していないと「塩素ガスへの暴露」と「濃度低下による消毒効果の減弱」によるリスクが生じます。
詳しくは「消毒薬に暴露されないために!」に記事を記載していますので、そちらも参考にしていただければと思います。
浸漬消毒のポイント
ということで、浸漬消毒に必要なポイントについてまとめました。
- 消毒薬の「濃度」「接触時間」「温度(一般的には20℃以上)」を正しく管理する。
- 消毒を行う器材に体液などの有機物が残存している場合は、十分に「洗浄」して除去してから消毒する。
- 器材の中に空気が残らないように浸漬する。
- プラスチック製の器材は浮いてくることがあるので、「落し蓋」を使用して器材を沈めるようにする。
- 浸漬中は密閉して「塩素ガスへの暴露」と「濃度低下による消毒効果の減弱」を防ぐ。
- 直射日光を避け、シンク付近の水跳ねを避ける。
- 消毒薬は毎日交換する。
具体的には?
消毒薬の効果に影響を与える因子として「濃度」「温度」「時間」の3つが極めて重要です。
例えば「濃度」についてですが、次亜塩素酸ナトリウムであればその器材に適した濃度に希釈する必要があります。
希釈方法の例(0.1%=1000ppm)
500mLの水に対して市販の漂白剤(5~6%)を10mL(ペットボトルキャップ2杯)入れる。
次亜塩素酸ナトリウムの濃度については「次亜塩素酸ナトリウムと消毒」に記事を記載していますので、そちらも参考にしていただければと思います。
「温度」については、一般的に20~25℃が至適温度とされています。
熱すぎても冷たすぎても効果が減弱するため、極端に冷たい水などは使用せずに常温の水を使用するようにしましょう。
「時間」は、1時間以上(20℃の場合)が推奨されています。
タイマーで管理するなど、しっかりと管理していきましょう。
伝え方の例
プカプカ浮いていますね。
素材によっては、どうしても浮かんできてしまうと思います。
普段「落し蓋」とかは使っていますか?
この間から隣の病棟で試している「落し蓋」なんですけど、意外と好評で使ってみますか?
私たちとしても、しっかりと消毒できていないと患者さんの感染のリスクにつながるので、ちゃんとできるようサポートしていきたいと思っています。
どうしたらみんなができるようになると思いますか?
そうですね。
ICTからも資料作ってみますね。
一緒に頑張っていきましょう。
さいごに
せっかく浸漬消毒してても、忙しいとついつい放り込むだけの作業になっちゃいますよね。
その方法について、今一度見直して、正しい「浸漬消毒」ができるようしていきましょう。
今回のお話が少しでもお役に立てれば嬉しく思います。