消毒効果のあるうがい薬は?

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まず大前提としてお話しておきたいのは、日常的に使用するうがい薬に消毒効果のあるものは必要ないということです。
後ほど記載しますが、日常的に消毒効果のあるうがい薬を使用すると菌交代現象という問題が起きてきます。
とは言え、消毒効果が欲しい時ってありますよね。
今回はうがい薬にお話ししたいと思います。

口腔内に使える消毒薬は?

消毒薬と聞くと何を思い浮かべますか?
アルコールや次亜塩素酸ナトリウムを思い浮かべる方も多いと思います。
確かに環境にはそういった消毒薬が使われます。
ただ、消毒に必要なアルコール濃度は最低60%と言われています。
60%のアルコールでうがいをしたら喉焼けちゃいますよね。
ハイター(次亜塩素酸ナトリウム)にはたんぱく質を溶かす作用があるので、触ったらヌメヌメしますよね。
それを口腔内の粘膜に使用したら、、、想像もしたくもないですね。

ということで、口腔粘膜に使用できる消毒薬は限られています。

イソジンガーグル(ポビドンヨード)が一番強い?

まず初めに思いつくうがい薬は「イソジンガーグル(ポビドンヨード)」です。
中水準レベルとされる消毒薬で、一般的な細菌の他にウイルスにも効果が期待できるため、一時期大阪の吉村府知事が会見を行った影響で市場から品薄になったあれです。
非常に広い抗菌スペクトルが期待でき、咽頭炎や扁桃炎といった喉の腫れに対して使用されることが多いうがい薬です。
まれに甲状腺機能障害を引き起こすことがあるので注意が必要です。

使い方(希釈方法) 7%製剤

うがい薬は使い方(希釈方法)がとても重要です。
濃度が濃ければ良いという訳ではなく、適切な濃度で使用することが大切です。

2~4mLを約60mLの水に希釈(15~30倍)

ネオステリングリーン(塩化ベンゼトニウム)は?

もう一つが「ネオステリングリーン(塩化ベンゼトニウム)」です。
いわゆる逆性石けんと呼ばれる低水準レベルの消毒薬で、一般的な細菌には効果が期待できますが、ウイルスに対しては効果が期待できません。
洗浄作用や角質溶解作用があり、抜歯などの歯科治療の前後に使用されることが多いうがい薬です。

使い方(希釈方法) 0.2%製剤

口腔内消毒:2mLを約100mLの水に希釈(50倍)
抜歯創の感染予防:5mL〜10mLを約100mLの水に希釈(10〜20倍)

市販のコンクールF(クロルヘキシジン)は?

医療用ではありませんが、市販で購入できるのが「コンクールF(クロルヘキシジン)」です。
これも低水準レベルの消毒薬のため、一般的な細菌には効果が期待できますが、ウイルスに対しては効果が期待できません。
特徴として、歯の表面への吸着が良く、歯垢抑制作用があると言われています。
歯周病などに使用されることがありますが、低濃度では効果に疑問があるのも事実です。

使い方(希釈方法)

5~10滴を約25~50mLの水に希釈

消毒効果はないがアズレンも!

消毒効果はありませんが、もう一つ有名なのが「アズノールうがい液」や「含嗽用ハチアズレ」(アズレンスルホン酸ナトリウム)です。
アズレンは粘膜上皮の形成を促進する作用があるため、口内炎などの傷に使用されることが多いです。

菌交代現象と言う問題

必要な時に使用すれば非常に効果的なうがい薬ですが、慢性的に使用していると菌交代現象という問題が生じます。
どういうことかと言うと、消毒効果を持つうがい薬によって、病原性を示す微生物だけでなく、口腔内の常在細菌叢と呼ばれるバリアを乱してしまうことによって、余計に感染し易くなってしまうということです。
漫然と使用するのではなく、使用する場面を見極め、必要な時に短期間で使用するようにしましょう。

さいごに

今回は、消毒効果のあるうがい薬についてお話させていただきました。
口腔内には非常に多くの微生物がいますので、うがい薬を使用するしないに関わらず、まずは清潔にしていくことが大切です。
最近、コロナに感染した際の肺炎予防に有効との見解も示されていますが、感染する前から慢性的に使用することは勧められません。
ただ、感染後に誤嚥などが原因で肺炎を引き起こす可能性が高い人に関しては、口腔内を清潔に保つ(口腔ケア)という意味で、有効であることは間違いないと思います。
必要な人と場面に応じて、適切に使用できるよう見返していただければ幸いです。