咳止め薬の違いとは?

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咳(咳嗽)って辛いですよね。
特にコロナが流行って以降、咳をすると白い目で見られるようになりました。
今回はそんな咳止め薬(鎮咳薬)について考えていきたいと思います。

咳止め薬を使用すべき?

咳が出たら咳止め薬を使えばいいという訳ではありません。
咳は生理現象です。
外部から侵入したウイルスや細菌、気道に溜まった痰を排出するために起こるため、無理に止める必要はありません。

咳が長く続くときには、原因の特定も必要になります。
喘息や逆流性食道炎、腹部空炎などが原因で咳が出ている場合には、咳止め薬は逆効果になる可能性があります。
しっかりと原因を特定して、根本的治療を行うようにしましょう。

ただ、大事な会議の前など、どうしても咳を止めたい状況ってありますよね。
そんな時に役に立つのが咳止め薬です。

強力な「デキストロメトルファン(メジコン)」

「デキストロメトルファン(メジコン)」はすごく小さな薬です。
そのこともあって、あんまり効かない薬と思っている人も多いのではないでしょうか?
鎮咳効果という点では、強力な「リン酸コデイン」と同等の効果と言われるのが「デキストロメトルファン」です。
その優劣については様々な研究がありますが、通常量(1回15~30mg)で「リン酸コデイン」と同等の効果とされています。

デキストロメトルファン10~20mg ≒ リン酸コデイン15mg

副作用には注意が必要です。
「デキストロメトルファン」は生後3か月から使用することができますが、1歳から12歳の小児に使用した場合、3人に1人の割合で副作用が発現したとの報告もあります。
「危険ドラッグの入り口」と呼ばれることもあるため、小児への安易な使用には注意が必要です。

安全性の高い「チペピジン(アスベリン)」

効果が劣るかもしれませんが、安全性が高いとされているのが「チペピジン(アスベリン)」です。
「リン酸コデイン」との比較試験において、同等の効果を得るためには「チペピジン」として16mg/kg必要とされています。
「チペピジン」の通常量は1日60~120mgであるため、同等の効果を得るためにはかなり量が必要であることがわかります。

一方で、安全性は高いとされています。
使用に年齢制限はありません。
副作用も少ないため、小児科や耳鼻咽喉科で子供によく使用されています。

単独では弱いですが、去痰作用があるとも言われています。

咳に特化した配合薬「フスコデ」

鎮咳効果を有する3種類の成分が配合されているのが「フスコデ」です。

リン酸コデイン(鎮咳薬) 3mg
エフェドリン(気管支拡張薬) 7mg
クロルフェニラミン(抗ヒスタミン薬) 1.5mg

一番注目すべきは鎮咳薬として「リン酸コデイン」が含まれているということです。
「リン酸コデイン」は、「呼吸抑制」のリスクがある薬です。
高用量(錠剤20mg)高濃度(散剤10%)では「麻薬」に指定されています。
そのため、2019年に「リン酸コデイン」を含む製品は、12歳未満の小児に禁忌となりました。
それだけ乱用には注意が必要ということです。

さいごに

今回はよく使用される咳止め薬についてお話させていただきました。
繰り返しになりますが、基本は咳を抑える必要はありません。
原疾患によっては悪影響となることもあります。
喘息には吸入ステロイド、逆流性食道炎には胃酸分泌抑制薬、副鼻腔炎には抗菌薬といった風に、根本治療も大切です。
ただ、人の目って気になりますよね。
そんな時に役に立てるよう、少しでも参考になれば嬉しく思います。