医療従事者はちゃんと薬を使えてるの?

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「抗生剤はしっかり最後まで飲み切ってください。」
「抗生剤は飲み忘れしないように注意してください。」

そう患者さんには説明していることと思いますが、自分に置き換えた場合にちゃんと使用できていると言えますか?
適正使用を推進する側の私たちがちゃんと使えていなければ、本末転倒です。

そもそも医療従事者自身は感染症の薬をちゃんと使えているのか?

今回はそんな話題について考えていきたいと思います。

薬剤耐性(AMR)を防ぐために、一人ひとりができること!

抗微生物薬は使えば使うほど、それが不適切な使用(飲み忘れや治療中断)であればあるほど、薬剤耐性を誘導してしまうことが知られています。
薬剤耐性を防ぐためには、処方する医師だけでなく、一人ひとりの意識が重要です。
まずは、一人ひとりに意識して欲しい3か条(AMR防止のため私たちができること)についてお話させていただきたいと思います。

風邪に抗菌薬は必要ありません。

風邪に抗菌薬は必要ないという話は、だいぶ一般の方にも浸透してきたのではないでしょうか?
詳しくはこちら(風邪に抗菌薬はいらない理由とは?)に記載してありますので、参考にしていただければと思います。
抗菌薬は使えば使うほど耐性菌を誘導してしまうので、不要な抗菌薬は使用しないようにしましょう。

処方された抗微生物薬は医師の指示どおり服用しましょう!

今回の話題はこれです。
不適切な使用(飲んだり飲まなかったり)をしてしまうと、より薬剤耐性を誘導し易くなることが指摘されています。
これは、飲み忘れによって体の中の薬の濃度が低くなると、MSW(mutant selection window)と呼ばれる薬剤耐性を誘導し易い濃度に入ってしまうためです。
抗微生物薬を使う時はしっかりと使うようにしましょう。

基本的な感染対策をしましょう!

そもそも感染症に罹らなければ薬を使わなくてすみますよね。
基本的な感染対策についてはこちら(標準予防策は基本の基本!)に記載していますので、参考にして頂ければと思います。

医療従事者は感染症の薬をちゃんと使えてるのか?

適正使用推進のため、こういったことを患者さんに説明していく必要があるのですが、そもそも医療従事者自身は感染症の薬をちゃんと使えているのでしょうか?
以前、調べたことがあります。

2018年、まだインフルエンザが猛威を振るっていた頃の話になります。
インフルエンザ感染者に濃厚接触した時に、タミフル(オセルタミビル)の予防内服をすることがありますよね。
その年に予防内服をした職員(医療従事者)全員にちゃんと飲んだかアンケートをとってみました。

どうでしょう!?
実に3分の1の職員(医療従事者)が、ちゃんと飲めていなかったという衝撃的な結果でした。
もしかしたら、一般の方よりも医療従事者の方がアドヒアランス悪い可能性があるかもしれません。
医療従事者はなまじ知識があるから厄介ですよね。

やっぱり説明は大事!

相手が医療従事者だからって、説明を適当にしていることはないですか?
ちゃんと飲んでもらえるか、その意識を変えるのはやっぱり説明しかないと思います。

ちゃんと最後まで飲み切ってくださいね。

この一言はとても大事ですね。
目を見て真剣にこう言われたら、意識は確実に変わっていくと思います。

適正使用を意識した説明書を作成したり、家に帰ってからも意識させるような取り組みも一つの方法として有効だと思います。

いずれにしても医療従事者の意識についても、変えていけるよう取り組んでいかなければいけないことは間違いありません。

さいごに

今回は「医療従事者は感染症の薬をちゃんと使えてるのか?」についてお話させていただきました。
適正使用しなければいけないのは患者さんだけじゃないんです。
今後の活動に少しでも役に立っていただければ嬉しく思います。